実践メディア産業論VIII(新聞) 竹田


18:55 福武ラーニングシアター


情報学環教育部の特別講義を聴講しました。
会場の席が溢れるほどの盛況でした。


辺見庸氏(作家)特別講義

メディア・表象・資本の今日的変容と予兆──秋葉原事件を念頭において


crime(法的犯罪)ではなく、sin(罪)としての秋葉原事件


レジス・ドブレ
活版印刷は万物の商品化であり、デジタル革命は万物のバーチャル化
新しいメディアの不快な疲労
ネットで交わされる「働いたら負け」という価値観
「働かざる者食うべからず」(レーニンパウロ)以来の労働の義務感
プレカリアート
オルフェウスの寓話

殺すくらい 何でもない
と思いつつ人ごみの中を
濶歩して行く



何者か殺したい気持ち
ただひとり
アハアハアハと高笑いする



自分より優れた者が
皆死ねばいいにと思い
鏡を見ている


白塗りのトラックが街をヒタ走る
何処までも何処までも
真赤になるまで

夢野久作「猟奇歌」より

夢野久作,猟奇歌,夢野久作全集〈3〉所収

夢野久作全集〈3〉 (ちくま文庫)

夢野久作全集〈3〉 (ちくま文庫)


1.
カール・マルクス,経済学・哲学草稿(経哲草稿)

経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)

経済学・哲学草稿 (岩波文庫 白 124-2)

資本は労働力の寿命を問題にしない。


カール・マルクス,資本論

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

資本論 1 (岩波文庫 白 125-1)

2.
ラッダイト運動

A.I.(Artificial Intelligence)の言葉をつくったのは、あのマッカーシズムマッカーシーだとありましたが、これは勘違いかもしれません。

3.
労働の拒否

"I'd prefer not to"


ハーマン・メルヴィル,(代書人)バートルビー
ジョルジョ・アガンベン,バートルビー—偶然性について,月曜社,2005

バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』

バートルビー―偶然性について [附]ハーマン・メルヴィル『バートルビー』

4.
狂気について

ミシェル・フーコー,狂気の歴史—古典主義時代における

狂気の歴史―古典主義時代における

狂気の歴史―古典主義時代における

ジョージ・オーウェル,1984

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

1984年 (ハヤカワ文庫 NV 8)

ジョーゼフ・ヘラー,キャッチ=22

キャッチ=22 上 (ハヤカワ文庫 NV 133)

キャッチ=22 上 (ハヤカワ文庫 NV 133)

結局、それを実行したのは彼らだが、望んだのは私たちのほうなのだ


ジャン・ボードリヤール,パワー・インフェルノ—グローバル・パワーとテロリズム

パワー・インフェルノ―グローバル・パワーとテロリズム

パワー・インフェルノ―グローバル・パワーとテロリズム


最後に、マスゴミ業界を目指す受講生へ向けて、良きマスゴミ人になるとっておきの秘訣を教えていただいた。

良きマスゴミ人になる秘訣
  1. 新聞をよく読み、テレビをよく見ること。
  2. 鈍感になること。無感動になること。
  3. 想像力、創造力を持たないか、持ちすぎないこと。
  4. 本を読まないこと。きょう紹介した本は絶対読んではいけない。古典、詩の類いは読まないこと。
  5. 読んでいないのに、読んだふりを巧みにすること。
  6. 適度にリベラル、進歩主義的なふりをすること。
  7. 世を憂うこと。「イヤな世の中になってきましたね」
  8. 自分を狂っていないと信じること。
  9. 恥ずかしげもなく、おためごかしを言うこと。命の大切さ、エコなど。
  10. 口八丁手八丁。悪達者(芸が巧みだが品が無いこと)。
  11. すべからくオーウェリアンになること。つまり「1984年」的人間になること。
辺見庸さん

辺見庸さんといえば、「もの食う人びと」の新聞連載が思い浮かびます。
共同通信配信で、中学生か高校生のときに、熊本日々新聞でときどき読んだ覚えがあります。
現在、同じく共同通信配信で「水の透視画法」という新聞連載が進行中のようです。
夢野久作の歌から秋葉原の無差別殺人事件の青年の衝動を連想したくだりは、この連載に書かれたことのようです。


半身が不自由そうでしたが、予定時間を大幅にオーバーして話を続けられました。


辺見庸,もの食う人びと

もの食う人びと (角川文庫)

もの食う人びと (角川文庫)